寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本 梶本 修身
寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本
著者:梶本 修身
出版社:PHP
先日読んだスタンフォード式 最高の睡眠に引き続き、もっと理解を深めて工夫できる点を探すためにもう一冊アマゾンで評価が高かったので購入。
本記事では自身にはできている部分、興味がない部分、わかっている部分で端折っている箇所もある。
睡眠とは
睡眠とは前日の疲れを完全に消し去るための手段であり、目的ではない。そして、生じてしまった疲労を回復するためには睡眠をとるしか方法はない。
本書では「質のよい睡眠」=「前日までの疲労を完全に取り去る睡眠」と定義し、その評価対象は翌日の疲労度である。
睡眠を取る必要性
睡眠の目的は疲労の回復である。疲労回復のためには、現代の医学では質の良い睡眠を取るしか方法がない。 睡眠の質=疲労回復力であるため、質がよくない睡眠の人は長く睡眠を取る。個人差が出るものである。
睡眠の効果
下記にある悪い睡眠のサインと被ってしまう箇所があるが、ここにまとめる。
1. 疲れにくい身体になる 2. 免疫力が上がる 3. 記憶力アップ 4. 作業能率アップ 5. 手続き記憶アップ(運動能力アップ) 6. アンチエイジング 7. ダイエット効果 8. ストレス解消 9. 心の安定
本書では全てに関して解説があるが、個人的に関心のあるものだけをピックアップして記す。
ストレス解消
強いストレスを感じた時に体内ではコルチゾールが分泌される。 よい睡眠を取ることができればストレスを軽減でき、コルチゾールの減少に繋がる。 コルチゾールが増加すると免疫力が下がり、生活習慣病になるリスクが高くなる。 このコルチゾールは覚醒のためのホルモンであり、コルチゾールが多い状態だと寝付けない。 つまり、ストレス(多)→コルチゾール(増)→寝れない→ストレス更(多)→さらに寝れない という負のループになる。
心の安定
セロトニン(幸せホルモン)には、心を安定させたり意欲を出させたりする役割がある。 逆にこのセロトニンが不足すると精神が不安定になり、感情の起伏が激しくなる。 そして不足することによって発症する病気がうつ病である。 よい睡眠を取ると朝起きた時に脳内でセロトニンが多く作られる。 そして、14~16時間後にセロトニンはメラトニン(睡眠ホルモン)に変化する。 このメラトニンは体内環境を眠りに適した状態に整える。 メラトニンが不足するとイライラし、セロトニンから変化するメラトニンが減少し入眠が妨害される。
疲労は自律神経の中枢で起こる
肉体疲労も精神的な疲労も原因は同じである。疲れているのは自律神経の中枢である。 自律神経とは呼吸、消化吸収、血液循環、体温、心拍などをコントロールており、交感神経と副交感神経がある。 運動や作業をすると脳にある自律神経中枢の細胞で活性酸素が発生し、酸化する。この酸化によって疲労を感じるようになる。 疲れている状態というのは、体内で疲労因子FFが溜まる。すると、疲労を回復するために疲労回復物質FRが反応する。このバランスによって疲労の蓄積が変わってくるのである。
自律神経が睡眠を調整している
自律神経の中枢が睡眠のリズム、深度を統制している。自律神経が疲労によってオーバーワークしていると睡眠の統制が上手くとれなくなってくるのである。
自律神経の中枢が疲弊する ↓ 睡眠のリズム、深度の統制が悪化 ↓ 自律神経の疲弊が回復しない
という悪循環に陥る仕組みになっている。
良質な睡眠を取っているか?
睡眠の質を左右するのは寝始め3時間である
物質疲労回復物質FR以外にも疲労回復に必要な成長ホルモンが寝始め3時間に多く分泌される。 ○時〜○時というのは関係ない。
悪い睡眠のサイン
1.いびきがある
いびきをかくと身体は酸欠状態となってしまい自律神経が休むことなく活動してしまう。
2.起床4時間後に眠気がある
起床4時間後は通常覚醒状態のはずであるが、このタイミングで眠気があるというのは質の悪い睡眠を取っていると言える。
3.やる気が出ない、気分が沈みやすい
最新の研究では、5日間睡眠不足が続くだけで不安や抑うつが強まることがわかっている。 この原因は、睡眠不足に脳の感情をつかさどる部分扁桃体が過剰反応してしまうためと言われる。 これは、不安・うつ病に繋がると言われている。
4.注意力散漫でミスが多い
6時間睡眠が10日を越えると徹夜明けと同じくらい認知度が低下する。 そして徹夜したときの作業能率はチュウハイを7〜8杯飲んだ時よりも悪化する。 上記は個人差があるものの、睡眠不足が続くと認知力を著しく低下させることがわかっている。
5.風邪をひきやすくなった、体調を崩しやすくなった
睡眠の質がよくないと自室神経の機能が低下し、免疫力の低下に繋がる。
6.血圧、血糖値が高い
睡眠の質が悪いと自律神経の機能が低下し、交感神経優位になる。 交感神経優位の状態にインスリンが分泌される。 血圧・血糖値が高い原因は一概には言えないが、睡眠が要因となっている場合がある。
7.休みの日に昼まで寝る
平日の起床時間と休日の起床時間の差が2時間以上ある場合は要注意である。 これは平日の睡眠では足りていないため起こる。 また、平日と休日のリズムが崩れてしまうため平日(特に月曜)にだるくなってしまう。 寝だめはできないが、ある程度平日の睡眠不足を返すことはできるので多少の差に納めたほうが良い。
8.うたたねをする
日中に眠気を感じ、うたたねをしてしまうのは睡眠の質がよくないためである。 うたたねをすると夜就寝するときに眠れなくなってしまうという悪循環に陥ってしまう。 うたたねがある場合、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーである可能性があるので要注意である。
9.ベッドに入るとすぐに眠ってしまう
本来人間は覚醒から睡眠に入るときはスイッチのように切り替わるのではなく徐々に変わっていく。 「どこでも寝れる」「寝つきが良い」という人に睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群が多いのは事実である。
10.目覚ましで起きる
自然界において大きな音で目覚めるというのは危険が迫っているときであり、不自然なことである。 副交感神経優位状態から一気に交感神経優位に切り替わるので自律神経には負担が大きい。 睡眠自体が良くてもこれで目覚めが悪くなってしまっているかのうせいがある。
11. 寝汗でパジャマがびっしょり
睡眠時に体温を下げるため熱放出はするが、通常は手のひらと足の裏はらのみで十分である。 汗をかいて体温調節しているということは体温調節をつかさどる自律神経が休まずに一晩中働いているということになる。
12.起きたら身体に痛みがある
これは寝具が合っていないということである。 身体に合っていない寝具は睡眠を悪化させる。
良質な睡眠を取るために
入眠時間より起床時間を固定
人間はサーカディアンリズムにより活動的な時間、睡眠をとる時間が決まってくる。
サーカディアンリズムを整えることが重要である。
人は起きる時間によりほぼ眠くなる時間が決まる。
目覚ましは優しい光を使ったものを
音によって起きるというのは人にとってストレスの大きいものであるので、光を使って起きるのがよい。
具体的には、カーテンを開けておく、光を使った目覚ましを使うのである。このとき、光は徐々に明るくなるもので、色は日の出と同じ桜色であることが望ましい。
また、人には自身で起きる時間をコントロールする能力があるので自己覚醒法が使える。
「明日○時に起きる」と意識することでコルチゾールの分泌リズムがコントロールされ、その時間に起きることができる。
そしてもし上記の方法以外、音の目覚ましを使う場合は徐々に音が大きくなるものが望ましい。
朝、太陽の光をしっかり浴びる
太陽光はサーカディアンリズムのズレをリセットすることができる。
このとき注意すべきなのは光の強さが違うため、蛍光灯ではなく太陽の光である必要があるということである。
朝食を取る
トリプトファンを含む食べ物を取る
朝太陽光を浴びるとトリプトファンという物質が分泌される。 このトリプトファンはトリプトファン→セロトニン→メラトニンと姿を変える。 そのトリプトファンを多く含む食べ物は以下の通りである。 - 乳製品 - バナナ
### 疲れと睡眠には鶏胸肉 イミダペプチドが多く含まれる鶏胸肉が疲労にはよい。 鶏胸肉を1日100gくらいを目安に。
### 運動
軽い運動で疲労回復物質FRを分泌させて疲労を回復させる。
激しすぎる運動は自律神経が疲弊してしまい、睡眠の統制が取れなくなるのでNG。
運動をするときは寝る2時間前までに終えるようにする。
運動すると交感神経優位となっているため副交感神経優位に切り替わるまでの時間が必要である。
また、野外で活動する時はサングラスが効果的である。紫外線が目から入り活性酸素を発生させるのを抑えることができる。
### 夕食後は夕焼けくらいの照明に 間接照明に切り替えるなどしてメラトニンの分泌を促進する。
### カフェインについて コーヒーナップは効果的である。 カフェインの覚醒作用は長時間に及ぶため午後の摂取は注意。 また、コーヒー以外の飲み物にも注意が必要である。例えば紅茶、緑茶、烏龍茶、炭酸飲料、チョコ、ココアがある。
### 寝る直前の食事 食事は寝る2~3時間前までに終わらせる。 消化器官が動くためには自律神経が必要であるため寝る直前に食事をすると寝ている間も自律神経は働き続けなければならない。
### 寝るとき以外はベットに寝そべらない 先日読んだスタンフォード式 最高の睡眠 にもあったが、場所と条件を正しく脳に記憶させるためである。 そして、眠気を感じるまでベッドに入らない。ベッドに入って寝れない時間を過ごすことがトラウマになり、ベッドに入るだけでねれなかったらどうしようという不安にかられてしまうのである。
感想
前回の先日読んだスタンフォード式 最高の睡眠 よりも疲れにフォーカスしてあったため自分にもこういう経験あるな、自分もその状態だなと身近に思いながら読むことができた。 また、よい睡眠のための工夫も詳細が書いておりすぐに実践できることが多かった。